出典:ブラック・ミラー: バンダースナッチ | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト
どうもでょおです。
とうとう配信開始されましたね。Netflixオリジナル作品『ブラックミラー』の最新作が。私はブラックミラーが好きなのでこのブログでも何度か紹介してきました。
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今回のブラックミラーは長編のため、ドラマの1エピソードではなく、映画という括りでリリースされました。その名も『ブラック・ミラー:バンダースナッチ』です。
そして何が革新的かというと「Netflixインタラクティブ作品」というもの。映画の作中に選択肢が現れ、その選択によってストーリーが変わるというもの。
あまり知られていないのですが「Netflixインタラクティブ作品」は実はこれまでも存在していました。『長靴をはいた猫』のインタラクティブ作品などがあったんですが、このような実写の大人向き映画としては初めてだと思います。
長靴をはいた猫の方も見たことがあるんですけどやっぱりそこは『ブラックミラー』。単純に選択によってストーリーが変わる程度の映画ではありませんでしたよ。
はっきり言って今年最大の衝撃映画でした。
『ブラック・ミラー:バンダースナッチ』のあらすじ
1984年、ビデオゲームの開発チャンスを得た若いプログラマー。ファンタジー小説に基づくゲーム開発に取り組む中、現実とパラレルリアリティが混同し始める。
ストーリーが選択できるという小説『バンダースナッチ』を原作に、ストーリーを選択できるアドベンチャーゲーム『バンダースナッチ』を開発するステファンがゲームを開発していくなかで、気が狂ってくる話です。
バンダースナッチ
『ブラック・ミラー:バンダースナッチ』におけるバンダースナッチはジェローム・F・デイヴィスという小説家の小説のタイトルから来ていました。
ですがバンダースナッチといえば元々はルイス・キャロル原作の『不思議の国のアリス』に登場する怪物の名前です。ティム・バートンが映画化した『アリス・イン・ワンダーランド』に登場した犬みたいな怪物の名前ですね。
原作ではバンダースナッチはどのような容姿をしているかすら不明な生き物だとされています。
『ブラック・ミラー:バンダースナッチ』のキャスト
主人公ステファン・バトラーを演じるのはクリストファー・ノーラン監督の『ダンケルク』で主人公に大抜擢されたフィオン・ホワイトヘッドです。『ダンケルク』がほとんど初作品に等しい若手俳優です。
そしてステファンが尊敬するゲームプログラマー、コリン・リットマンにはウィル・ポールター。『ナルニア国物語』や『メイズランナーシリーズ』などの娯楽作品から『レヴェナント: 蘇えりし者』や『デトロイト』などのシリアスな映画まで幅広く活躍中の俳優です。今後がさらに期待される俳優の一人です。
『ブラック・ミラー:バンダースナッチ』のエンディングについて
複数の選択肢によってストーリーが進められていくので当然、複数のエンディングが存在します。
恐らく古いテレビ画面が映るシーンが一応エンディングです。ですがエンディングを迎えてもほかの選択肢をやり直すことができるので何度でもエンディングをやり直すことができます。
ざっとやってみましたが選択は15回ぐらいはやりました。数えてたんだけど途中から忘れちゃった。
『ブラック・ミラー:バンダースナッチ』の感想(ネタバレあり)
エンディング一覧
まず私が見たエンディング一覧をざっと紹介しようかと思います。その上で感想と解説をしていきたいと思います。
- 映画の撮影中だった
- 父を殺害して逮捕された
- 診療中に死んだ
- ゲームを完全な状態で納品した
まだあった気がしますがエンディングらしいエンディングはこんな感じでした。さすがに疲れてきちゃって途中で辞めたので他にもあると思います。
ベストなエンディングは「ゲームを完成させた」
あくまで私の意見ですが『ブラック・ミラー:バンダースナッチ』のベスト、というか純粋なエンディングはステファンがゲームを完全な状態にして納品したものだと思います。
ゲームは1984年に販売され傑作だと位置づけられましたが、父親を殺害し、遺体をバラバラにしたことが後に発覚し逮捕されます。その後、現代でステファンの娘がNetflixでバンダースナッチのゲームをリメイクするというものです。
まさに私たちが今見ている作品を作ったのがステファンの娘だというオチです。彼女もまたステファンのように「選択」に取り憑かれていました。
エンドロールっぽいものも表示されていたのでこれが一応、純粋なエンディングに位置づけられそうな気がします。
このエンディングではとても興味深い言葉をステファンから聞くことができます。
選択しているようで選択させられている
純粋(仮)なエンディングでステファンは「プレイヤーが選択しているように見せかけて実は自分が選択させている」という話をしました。
ステファンは自分の意思でありとあらゆることを選択しているつもりでしたが、途中から自分以外の何者かが全てを選択しているということに気が付きます。つまりこれは視聴者である私たちですよね。
ステファンは自分の意思で朝食のシリアルや聴く音楽さえも選べないのです。
ですがこれはNetflixで『ブラック・ミラー:バンダースナッチ』を見ている私たちも同じなのです。『ブラック・ミラー:バンダースナッチ』は選択しているようで選択を誘導されているような部分がたくさんありました。
たとえばタッカーソフトのオファーを受けると、ゲームは駄作として販売され、ステファンは選択をやり直します。私たち視聴者はタッカーソフトのオファーを受けるという選択肢ができないのです。タッカーソフトのオファーは断るしか選択できないのです。
これはステファンが選択の意思を操られていると同様に私たちも選択の意思を操られているというものです。ステファンが純粋なエンディングで言ったように私たちも選択しているように見せかけて選択させられているのです。
この風刺こそまさしく『ブラックミラー』。本作『ブラック・ミラー:バンダースナッチ』はある意味ではブラックミラー史上最高のエピソードです。
メタルヘッド
余談ですがコリン・リットマンが作ったゲームとして『メタルヘッド』が登場していました。メタルヘッドはブラック・ミラーシーズン4の第5話のエピソードです。
メタルヘッドは廃退した世界が舞台でメタルヘッド、通称"犬"によってありとあらゆる生物が殺された世界で生き残る人々を描いた作品です。
配信当時私は「メタルヘッドは駄作だ」という感想記事を書きました。今もその考えは変わりませんが、あのメタルヘッドの世界が1984年にコリン・リットマンが作ったゲームの世界の話だと思うとちょっと見方が変わりますね。
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最後に
『ブラック・ミラー:バンダースナッチ』純粋な映画と思うと評価できないわけで、そもそも本作を「映画」とカテゴライズすることすら不可能です。
『ブラック・ミラー:バンダースナッチ』が映画かゲームか何なのかは別として本作は最高に面白かったというのが正直な感想です。
Netflixというコンテンツを利用してこのような作品を作れるのはやはりブラック・ミラーならではですね。