どうも意識低い映画系ブロガーのでょお(@dyoblog_)です。
意識低いのでどうしても考察とか解説が不得意だと思われてそうですが、これでもかなりの映画見てるので実は意外と考察得意かもしれんです。
というのも先日Netflixで『バスターの壊れた心』という面白い映画を見つけまして、かなり難解だったので考察してる人いないかなーと思ってググってみたら、誰も書いてないんですよね。
映画レビューサイトFilmarksも見てみたんですが、本当に誰も映画を理解できてなくて、正直草生えました。
という訳で、私でょおとしては珍しくアクセス数の稼げない旧作映画の感想を書きます。
ダメなおまいらのためにワイが解説してやんよ。調子乗ったゴメンなさい。
この記事は映画『バスターの壊れた心』のネタバレを含んでいます。
映画『バスターの壊れた心』の概要と評価
- 監督:サラ・アディナ・スミス
- 原題:Buster's Mal Heart
- 製作:2017年 アメリカ
6.1
70
56
いつも通り、私が面白いって言った映画は評価が低いですw
IMDbの評価が10点満点中6.1、Rotten Tomatoesの評論家の評価が70点で、観客の評価は56点。
日本の観客レビューと同じく、意味わからんかった派が多いのかもしれませんね。
Filmarksのレビューがヒドい
本作『バスターの壊れた心』って『ドニー・ダーコ』とか『複製された男』並みに難解映画なのに、難解映画の代名詞に入ってこないのって難解すぎて理解できない人が多すぎるからなんじゃないかと。
だってFilmarksのレビュー評価がヒドいんだもん。
以下ちょっぴり引用しますが、『バスターの壊れた心』が難解だと示すための引用なので悪気はないです。
気を悪くさせてしまったらゴメンなさい。
これは現実なのか幻想なのか答えがわからない。
数々の訳の分からないストーリー展開に頭がパニック。
何がなんだか、、
やっぱりみんなそうなるよね…。
こう言う事なんだろうなぁと何となくわかるけど、難しくスッキリしない映画。見る人が考えて下さい。感が、押し付けっぽいと言うか、何かイヤ。ラミ·マレックは、病んだ人の演技上手だったと思う。
よくわからんからとりあえずラミ・マレックを褒めときました!的な。
精神が破綻しちゃった男の話。
突っ込みどころ多すぎです。
今一つ
レビュアーなら、せめてツッコミどころぐらいは書けよなー。
本作は監督のサラ・アディナ・スミス曰く、見る人にゆだねる映画らしいので(ソースは見つけられなかったけど)、正解はないってことでいいやって人が多いのかと。
ジョナの名前やヨナ記について触れていることから、ある程度の正解は絞られてくると思うんだけど、そこに至る前から考察を挫折しちゃってる人が多い。それくらい難解なのかと。
中には中身がないとか言ってる人もいるくらい。
映画『バスターの壊れた心』のあらすじ
ホテルで働くバスターは謎の男との出会いをきっかけに山林に逃げ込み、警察に追われる身となる。無人の山荘に身を隠した彼は、奇妙な悪夢にうなされ...。
とのこと。
基本的には3つのラミ・マレックがそれぞれの話を展開していくストーリー。これが過去なのか妄想なのかも明言されてないって感じよ。
名言はされていませんが、ホテルのジョナが過去で漂流中のジョナと別荘を乗っ取るバスターが現在、というタイムラインになっています。
ですがこのタイムラインが終盤まで明かされないので、初見ではちんぷんかんぷんになっちゃうんですよね。
映画『バスターの壊れた心』の登場人物・キャスト
- ラミ・マレック/ジョナ
- DJクオールズ/駆除業者
- ケイト・リン・シール/マーティ
ラミ・マレック一人がメインなのでそれ以外はザックリ覚えてればよろし。
『Mr.ロボット』を知らず『ボヘミアン・ラプソディ』からラミ・マレックに入った人は結構衝撃的かもですね。
フレディ・マーキュリーにはとても見えないギョロ目の持ち主なので、寝不足や精神疾患やらせるとかなり映えます。本作ではラテン系のキャラを演じてますが、エジプト中東系の顔なので、ホンマにこれでええんかって感じはちょっとあります。
もう一人の重要な人物、通称害虫駆除業者、最後の自由人はDJクオールズ。一度見たら忘れない顔、ザ・コアの人。それしか覚えてないw
ちなみにDJはタンテをちゅくちゅくスクラッチするディスクジョッキーのことじゃなく、本名のドナルド・ジョセフの略みたい。
映画『バスターの壊れた心』の考察&解説 ※ネタバレ注意
お待たせです。ここからようやく『バスターの壊れた心』についての解説、考察をしていきます。
重要なネタバレ三昧なので未視聴の方は本気で見ないことをおすすめします。
本作はキリスト教についての知識が必須
私はごくごく一般的な仏教徒ですが、洋画や海外ドラマを好んでみるので、キリスト教について勉強してた期間があります。
なのでキリスト教に関して全く知らない人よりは知識があるかと思います。
本作『バスターの壊れた心』はメタファーでもなくキリスト教的な考え方やモチーフが盛り込まれたくってるので、キリスト教の一般的な知識が必要だと。
素人目に見てもバスターの風体が明らかにイエス・キリストだし、風呂で目覚めたシーンは明らかに磔のキリストを意識しています。
他にもバスターが逃げ込んだ岩の洞窟は、キリストが磔にされたゴルゴダの丘の正体だと言われている、されこうべの丘に似てたりします。
ジョナの名前は旧約聖書ヨナ記から来ている
主人公ジョナの名前。
ジョナという名前は旧約聖書のヨナ記に登場するヨナという人物から来てます。
旧約聖書のヨナは神の命令に背いて逃げ出したことがきっかけで、大きな魚(クジラ)に飲み込まれ三日三晩過ごしました。クジラから吐き出されたヨナは悔い改め、神の命令を実行しに行きます。
この話が『バスターの壊れた心』を理解するうえでめちゃめちゃ重要なのでもう一度読んでください。
『バスターの壊れた心』の終盤、2人のジョナが出会った時、髭面の方のジョナもヨナ記について話してましたよね?
またホテルに泊まったジョナの妻マーティが見ているテレビの中で、怒ったオッサンもヨナ記の話をしています。
『バスターの壊れた心』においてキリスト教的な考え方、中でもヨナ記はかなり重要な役割を担っています。
大量の蛙はキリスト教において災い
海で漂流していたジョナのボートに大量の蛙が現れましたよね。
「大量の蛙」って旧約聖書の出エジプト記に登場する「十の災い」の一つです。ユダヤ人を救うために神がエジプトに対し行った災いが「十の災い」。
奴隷状態にあったユダヤ人を代弁して抗議した預言者モーゼの言うことを聞かなかったために起きた災いです。
つまり神様の言うこと聞かなかったからエジプトに蛙が放たれた。
そう考えると、漂流ジョナスの元に蛙が放たれたことは、神の意思に背いたということを示唆しています。
警察に追い詰められたバスターはどこへ消えた?
これは簡単。ズバリ漂流した船の上。
ラストで警察に追い詰められてジョナが消滅する前のシーンで、漂流ジョナの元にもう一人のジョナが現れますよね?
これはバスターです。髭を剃っていますし、服装も同じなので間違いないかと。警察に追い詰められて消滅したバスターはここに現れます。
葬式を投げ出したジョナが分かれ道で分身したことからも分かる通り、これはパラレルワールドの話ではありません。どちらかというとドッペルゲンガーの話。
分かれ道で分身したジョナは、漂流したホナス(ジョナスのスペイン語読み)と山に住むバスターの2人になります。
そして2人は船の上で再会することになります。
ラストのオチでたどり着いた砂浜はどこ?
映画をよく見てれば分かるんだけど、この場所については、過去のジョナがホテルで見ているブラックホールのビデオで明かされています。
ビデオの博士によると、ブラックホールの中心には「存在しているけど存在していない小さな島」があると言っています。
また博士は「その島は愛する人たちと共にいる場所」とも言っています。
これがラストシーンでジョナがたどり着いた場所です。島だし、愛する人たちもいるでしょ?
この島の正体については明言されていないので、解説ではなく私のただの考察ですが、この島はいわば天国に等しいものかと。
駆除業者は「逆転が起こる前に家族をワームホールから逃がせ」と言っていました。
もしかすると駆除業者はマーティとレクシーを殺したのではなく、逆転するこの世界から逃がしたという見方もできますね。
バグと駆除業者とはなんだったのか
宇宙のバグやY2K問題、2000年問題は実際に2000年頃にあった都市伝説のようなものです。
ですがこの映画においてのバグはもう少し重要な意味を持っていて、駆除業者もただのイカれたエンジニアじゃないと思います。
バグはつまりジョナの壊れた心のことかと。
『バスターの壊れた心』は一見すると、家族の死で心が壊れたように見えますが、本当はそれ以前からジョナの心は壊れています。
家族のために文句も言わず黙々と仕事をこなしていましたが、妻に怒鳴り散らすシーンや窃盗を共謀するなど、すでに心が壊れています。
もっと言うと、恐らく娘のロキシーはジョナと血が繋がっていないのでそれも原因かもしれません。
「ロキシーの目の色はブラウン」とホテルでジョナが言いましたが、ジョナと妻マーティの目の色はブルーです。
このバグを修正するために神は駆除業者を用意して、ジョナのバグを修正しようとします。つまり言い換えると信仰心を取り戻させるってことにもなるかと。
家族を殺したのは恐らくジョナではなく駆除業者です。理由はバグを修正するためです。
家族を殺したきっかけでジョナはさらに心が崩壊し、悪いジョナ(ホナス)と感情を殺したジョナ(バスター)に分裂します。
彼らの片方が悔い改めたため、悔い改めた方の1人だけになり島に到達した。
ジョナが漂流したりバスターが奇行に走ったりする全てのきっかけである、家族の死をもってバグの修正が行われたということかと。
なので、この一連の出来事(大逆転)は、ホテルのフロントにジョナが貼っていた写真が逆さまに向いていたところを起点に始まったという訳です。
【結論】悔い改めたバスターと悔い改めなかったホナスがこの映画のテーマ
上述の話をまとめるとこうなります。
ジョナは家族を失う前から心が壊れており(バグ)、それを駆除するために駆除業者が遣わされた。
彼の害虫駆除方法はジョナの家族を殺すことそのものにあり、これをきっかけにして一方のジョナ(バスター)は悔い改め神を受け入れます。(テレビで母親の話を聞いたため)
もう一人のジョナ(漂流しているホナス)は悔い改めなかったため、災いである蛙が現れます。
ヨナ記にある通り、クジラの腹(漂流している船)から出たジョナは悔い改め、「存在しているけど存在していない小さな島」へたどり着き、信仰心を取り戻します。つまりバグが修正されたということになります。
パラレルワールド?瞬間移動?ただの夢オチだったのか?
私の説明が絶望的に下手なので、ここまで言ってもまだ理解できない人がいるかもなのでもうちょい補足説明。
『バスターの壊れた心』はパラレルワールドでも心象風景でもありません。ホテルのジョナが過去、バスターと漂流ジョナは現在です。
バスターが漂流ジョナのことを知らなかったことからも分かる通り、2人は意識を共有しない別の人間なので妄想ではありません。
瞬間移動はしてます。警察たちもそれらを見ていましたし。
SFでもファンタジーでもなく、スピリチュアルやオカルトっていうのが正しいかと。神の力で瞬間移動しています。
ビデオの中でブラックホールについて解説していた博士は神の力を科学的に解説しているものだと思います。
ちなみに科学者の中には神の存在を信じる人も多数いるので、宗教を科学的に解説している作品って結構あります。
最後に浜辺で目覚めたジョナが、家族の影を見ますが、夢オチではありません。
目覚めたジョナはホテルのジョナではなく、ボートに瞬間移動して現れたバスターです。
この島はブラックホールの中心であり、愛する者と一緒にいれる、存在するけど存在しない場所です。
最後に
いかがだったでしょうか。
ネット見てると、この映画が理解できてないのに理解できてるフリりして評価してる感じの人が結構見受けられたのに、誰もしっかり考察記事書いてないので書いてみました。
もちろん間違ってるところもあるだろうけど、7割は正解なんじゃじゃないかと個人的には思ってます。
この感想読んだ後、もう一度『バスターの壊れた心』見てくださいな。きっと理解できると思います。
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