(C)2019 Twentieth Century Fox Film Corporation
どうもでょおです。今日は映画『フォードvsフェラーリ』を見に行ってきました。
どうやら今年度の賞レース大本命と注目を浴びてる作品のようですが…。
おまいら本当にフォードって自動車メーカー知ってるんか?
私は母子家庭の母がフォード好きで、7歳ぐらいの頃から現在に至るまでウチにはフォード車しかなかったんよね。私もその影響でマスタングに乗ってるんだけど、日本人ってフォード知らないよなとよく思うんですよ。
「これはフェラーリ?」
「フランス車なのね」
「フォードって聞いたことあるわ」
こんなこと言われんのしょっちゅうよマジで。
というわけでして、多分この感想評価記事は皆さんの思いと大きく逸れてんじゃねーのかなと前もってご注意しておきます。
ではどうぞ。
この記事は映画『フォードvsフェラーリ』のネタバレを含んでおります
映画『フォードvsフェラーリ』の概要・評価
- 監督:ジェームズ・マンゴールド
- 原題:Ford v Ferrari
- 製作:2019年 アメリカ
8.3
92
98
と、かなりの高評価ですな。そこまでアメリカ称賛映画にはなってないんだけどアメリカ以外だと評価が大きく分かれそうな気がしますね。特にイタリアはたまったもんじゃないw
映画『フォードvsフェラーリ』のあらすじ
ル・マンでの勝利を目指すフォード・モーター社から依頼を受けた、元レーサーのカーデザイナー、キャロル・シェルビーは、常勝チームのフェラーリ社に勝つため、フェラーリを超える新しい車の開発と優秀なドライバーの獲得を必要としていた。シェルビーは、破天荒なイギリス人レーサーのケン・マイルズに目をつけ、一部上層部からの反発を受けながらもマイルズをチームに引き入れる。限られた資金と時間の中、シェルビーとマイルズは力を合わせて数々の困難を乗り越えていくが……。
壮大な人生を送ったキャロル・シェルビーの人生の最盛期であるル・マンでのレースを舞台にしています。
映画『フォードvsフェラーリ』の登場人物・キャスト
キャロル・シェルビー(マット・デイモン)
(C)2019 Twentieth Century Fox Film Corporation
アメ車乗りなら知らない人はいない、米モータースポーツ産業を支えたキャロル・シェルビー。レーサーになる前は養鶏所やってたとか言う話がありますね。
元レーサーですが病気で引退、その後はカーデザイナーとしてレースカーの製造して業界を支えます。2012年に亡くなった時はかなり話題になったのを覚えてます。
そんなキャロル・シェルビーを演じるのはマット・デイモン。モータースポーツの盛んなテキサスに生まれ育ったシェルビーを南部訛りで再現しております。
ケン・マイルズ(クリスチャン・ベール)
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シェルビーの友人でレーサー。シェルビーから絶対的な信頼を得ています。ブルドッグ感は全くないけどブルドッグと呼ばれております。
シェルビーの友人で専属ドライバーといえばマーク・ドナヒューのイメージが強いですが。
とにかく本作『フォードvsフェラーリ』はクリスチャン・ベールの演技がすごすぎるので、彼なしでは成し得なかったでしょう。ホント何やらせてもすごいよね。
アメコミ映画嫌いらしいけどマーベルからオファー来てるみたいでどうなるんでしょうか。
リー・アイアコッカ(ジョン・バーンサル)
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フォードを語る上で外せないのがリー・アイアコッカですよね。ケンがディスってた車マスタングの生みの親です。映画では副社長のレオがイベントを仕切っていましたが、現実ではアイアコッカがマスタングの開発責任者。
ちなみにアイアコッカはこの後もフォードに貢献し、最終的には社長になってたはず。
演じるのはジョン・バーンサル。やっぱり最高にカッケーわ。相変わらずいいよホント。ワイルド系のキャラが多いのでこうやって小奇麗だとなんだか違和感がありますねー。
モリー・マイルズ(カトリーナ・バルフ)
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マイルズの妻。なんていうか男の思い描く女性像っぽくなってるので、フェミニストが文句言ってきそうだと思ってる。
だとしても演じるカトリーナ・バルフは相変わらずの美しさよ。60sファッションがビックリするほど似合ってて超絶美しいです。
レオ・ビーブ(ジョシュ・ルーカス)
シェルビーの邪魔をするフォードのおべっか使いな重役。コイツいなけりゃもっとうまくことが運んだとしか思えない邪魔なヤツ。
演じるのはジョシュ・ルーカスで安定のクソ野郎っぷり。良き良き。
映画『フォードvsフェラーリ』の感想
ここからは『フォードvsフェラーリ』の感想になります。改めて読み返すと最後の方は車の話ばっかになってるわゴメン。
没入感には4DXも3Dもいらない
最近って3D映画とか4D映画とかあるじゃん。若い子にとっては「最近」じゃなくて「昔から」なのかもしれないけど。
何度見ても3Dとか4DXとかっていらねーなと思ってたんですが、今回改めてそう思いましたね。良い映画は3Dで飛び出してこなくても、席が揺れなくても十分世界に浸れます。
『栄光のル・マン』のような手に汗握るリアルなカーレースが本当に良かったです。
劇場に誰もいなかったら間違いなく立って拍手してましたね。それぐらい興奮しました。スポーツものの映画嫌いなのにね。それぐらい興奮したよ。
今後はIMAXさえあればいいわ。
車がカッコよく見えるように撮られてるので冒頭のレースからすでに興奮状態マックスで見れましたね。車の映画って自ずとアクション映画が多くなってしまうんだけど、こういうスポーツ映画の方がカッコよく見えるんだね。
車のこと詳しくなくても最高に楽しめる
一応タイトル通り『フォードvsフェラーリ』の話ではあるんだけど、俯瞰で見ると二人の男が権力者に邪魔されつつも打ち勝つだけの話です。そこに車の知識はなくてもいいんですよね。
7Lのエンジンが7000回転回すってどういうことなのか分からなくても十分楽しめる映画です。『LOGAN/ローガン』を監督したジェームズ・マンゴールドって本当に泥臭い男くさい世界観を撮るのにピッタリなんだろうなと。なお『ウルヴァリン:SAMURAI』は、
正直、観る前はもっとフォードバンザイ映画なんだろうなと思ってたんですが、むしろ逆でしたね。フォードこき下ろして、その中で頑張る2人の男の友情がメインでした。
フェラーリがヘンリー・フォード(一世)を引き合いに二世をディスってたけど一世もかなり問題ある人物で反ユダヤ教。ヒトラーが彼の写真を額に入れて飾ってたって言うほどの人間なのでどうかと。
少々脱線しましたが、完全に知識ゼロだとしてもマット・デイモンとクリスチャン・ベールのあまりに自然な完ぺきな演技を満喫するだけでも十分に楽しめる映画となっています。
とはいえやっぱり車に詳しい方が楽しめますね。
たとえばケンがマスタングを見て「秘書の車だ」とディスってましたが、実際64年の万博で初登場した際のマスタングはスポーツカーではなく「スポーツカーっぽい車」として登場し、安くて小さなセクレタリーカーと呼ばれてた。とか知ってるとなお楽しめますよね。
脚色してほしくなかった実話が1つある
この手の実話を基にした映画って大なり小なり必ず、事実が脚色されているんですよね。この映画『フォードvsフェラーリ』も漏れなく脚色されてる部分があるんですが、個人的に脚色してほしくなかったかなと思う部分があります。それがこれ。
実話はシェルビーvsフェラーリだった
本作『フォードvsフェラーリ』ではフェラーリの買収に失敗したフォードが逆上してフェラーリに挑戦するというストーリーの流れでした。
ところが事実は「シェルビーがいなければフォードはレースに参加しなかった」ともいえるんですよね。
遡ることキャロル・シェルビーがレーサーの時代。
シェルビーがル・マンで優勝するよりも数年前、シェルビーは数々の業績を収めてドライバー・オブ・ザ・イヤーにも選出されてた頃の話。この時にエンツォ・フェラーリがシェルビーに自社のドライバーにならないかとオファーしてたんですよね。
子供もいて家庭を持つシェルビーがギャラについて尋ねたところ、エンツォ・フェラーリは「フェラーリのドライバーになるのは栄誉なことだ」と返したそうです。
家庭を持つシェルビーにとって収入の保証ができないフェラーリのオファーは辞退せざる負えません。ある意味この時からシェルビーとフェラーリの間には確執があったと考えてよいかと思います。
そして心臓病の発覚ですよ。
心臓病によってレーサーをやめることになったシェルビーは、代わりにレースカーの製造を始めます。それが映画に何度も登場していたマット・デイモンの愛車であるACコブラ。
この車は軽量なイギリス車のシャシーにフォード車のエンジンを積んで製造されていました。このACコブラはレースで活躍し、フェラーリに追いつく勢いでした。
つまり事実はフォードがレースに参加するより前からシェルビーはフェラーリと戦ってたんですよね。
しかもフォードがレースに参加するきっかけはシェルビーのACコブラだったんですよ。映画の初めの方でジョン・バーンサルのリー・アイアコッカがヘンリー・フォード二世にプレゼンしてるでしょ?フォードはダサいとか言ってたアレ。
あのプレゼンでは言われてなかったんですが、シェルビーがフォードのエンジンを使ってフェラーリに追随しているという背景があったからこそ、フォードはレース市場に参戦しようと決意したんですよね。
「シェルビーがウチのエンジンでめっちゃ速い車作ってるからウチもレースに参加しようぜ」
って感じなわけです。
フォードがフェラーリの買収に失敗した後も、フォードはしばらく自社でレースカーの開発に着手しますが、それが上手くいかなかったためにキャロル・シェルビーにレースチームを託すことになりました。
シェルビーは初めからフォードのレースカー開発に携わってたわけじゃないんですよね。
なので個人的には「フォードvsフェラーリ」の構図よりも「シェルビーvsフェラーリ」の構図として描いてほしかったかなと、一モータースポーツファン的には思います。
シェルビーを主人公にしたらもっと多くのことが描ける
本作はキャロル・シェルビーとケン・マイルズのル・マンにかける思い、友情をメインに描いた映画ですが、キャロル・シェルビーの波乱万丈な人生はこんなもんじゃないです。
キャロル・シェルビーといえばカーデザイナーのイメージが強いですが、実際元々はレーサーです。レーサーとして絶頂の時に心臓病の発覚で引退しますが奇しくも引退してカーデザイナーとしての方が成功してるってだけでも十分ドラマチックな話。
もっとすごいのは心臓移植を受けて、最終的に2012年89歳まで長生きしているところです。
その他にも映画『フォードvsフェラーリ』で描かれた1966年のル・マンで優勝したたった4年後、フォードはシェルビーとの提携を解消した話もあります。
ル・マンで戦うためのGT40開発の裏で、マスタングをベースとしたSCCAレース用のGT350を開発していた話もあります。むしろ世間的にはGT40よりもGT350の方が有名な車でしょう。
このシェルビーマスタングGT350は現代でも製造され続けている名車として知られています。
出典:Datei:Ford Shelby Mustang GT350 (Centropolis Laval '10).jpg – Wikipedia
キャロル・シェルビーの壮大な人生で最も頂点に輝いたル・マン優勝のその部分を切り取った本作の続編はいくらでも作れるでしょうね。
それぐらい彼の人生は色んなことがある。
最後に
いかがだったでしょうか。
フォードマスタングに長年乗っている私には本当に待ちに待った映画ってところでした。この映画の続編を作るのはちょっとアレなんだけど、他にもキャロル・シェルビーの伝記映画があってもいいとは思いますね。
すでに今年1番の映画が決まったんじゃないかと個人的に思っています。
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