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どうも映画系ブロガーのでょお(@dyoblog_) です。
さてさて、このブログの読者さんならもう『2分の1の魔法』はご覧になられたんじゃないでしょうか。
私は早速行ってきました。
「正直微妙だった。」もしかしてこんな感想じゃないですか?
私はめっちゃ仲の良い兄弟がいて、片親だったのでライトフット兄弟にかなり感情移入しちゃったんですが、それを考慮しても微妙。
良い映画なのは間違いないんだけど微妙。
てな訳で早速感想読んでみんしゃい。
この記事は映画『2分の1の魔法』のネタバレを含んでいます。未視聴の方はご注意ください。
映画『2分の1の魔法』の概要と評価
- 監督:ダン・スキャンロン
- 原題:Onward
- 製作:2020年 アメリカ
7.4
88
95
米格付けサイトIMDbの評価は10点中7.4点。Rotten Tomatoesの評価は評論家の評価が88点で観客の評価は95点となっています。
基本的に高評価です。
観客の95点ってのはトムホ&クリプラ補正も効いてるんだろうなって感じです。いつも大体そうだしね。
IMDbの評価も7.4なので概ね良いという評価が多いのかと思います。
映画『2分の1の魔法』のあらすじ
妖精たちが暮らす不思議な世界――。美しい大自然を背景に、ユニコーンのような角を持つ美しい白馬のペガサスが空を飛び、色とりどりの尾びれを持つマーメイドたちは自由を謳歌し、神秘的な魔法が満ち溢れている・・・がそれは、はるか昔の話。科学や技術が進化するにつれ、小人や妖精たちも便利な世界に慣れ、この世から魔法は消えてしまった―。いまや空を飛ぶのはジャンボジェット機。美しい白馬のペガサスは“野良ペガサス”となり、街の地べたでゴミを漁る迷惑な存在に―。
主人公は魔法が消えかけた世界に暮らす魔法を使えない内気な少年イアン。イアンは自分が生まれる前に亡くなった父に一目会うために、好奇心旺盛な兄のバーリーと共に、魔法を取り戻す冒険に出る。
と、なっております。
魔法が忘れ去られた後の世界が舞台なんだけど、個人的にその設定が上手くいきてる気がしない。
バーリーがあまりに魔法に詳しすぎて、視聴者側は魔法が身近にない世界だとあまり感じられない。
マンティコアやピクシーバイカーたちのように一応あるっちゃあるんだけど、「魔法が忘れられたファンタジー世界」って感じがあまりない。普通に「ファンタジー世界」。
映画『2分の1の魔法』の登場人物とキャスト声優
一応ひとつの家族の話なので基本的に登場人物は少なめ。相変わらずキャラクターと声優の顔が似てる。
イアン・ライトフット(トム・ホランド)
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内気なエルフの少年。父親のパーカー着たりするファザコン。
16歳の誕生日に亡くなった父から受け継いだ杖で父を復活させようとするけど、失敗して下半身だけ復活させちゃう。
声優には『スパイダーマン』シリーズでお馴染みのトム・ホランド。最近だと『ドクター・ドリトル』のワンコ役でRDJと再共演。
ちなみにディズニープラスで配信されてる『スパイ in デンジャー』でもメインキャラで声優やってます。
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アニメ版のトムホの鼻がデカいのは共通認識なのかな。それよりも口にカエル隠してる風にした方がいい。
どうでもいいけど、『スパイ in デンジャー』はディズニーじゃなく買収した20世紀FOXが配信予定でした。これ豆な。
バーリー・ラインフット(クリス・プラット)
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イアンの小太りな兄ちゃん。大学に行ってないとかだったので多分ニート。陽キャニートは厄介やわ。
魔法オタクで、史実に基づいたボードゲームがお気に入り。イアンと違って魔法をめぐる旅に超ノリ気。
声優には『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のクリス・プラット。めっちゃハマリ役。
トムホの方はちょっと根暗すぎて若干微妙な感じあるけど、バーリーの空気読めない感はクリプラにピッタリ。
とはいえ得意のうるさい表情の顔が見れないのがもったいない。
ウィルデン・ライトフット(カイル・ボーンハイマー)
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イアンとバーリーの父。下半身のみ復活しちゃう。
勝手に裏設定だと思ってるんだけど、魔法に失敗したのって単純に不死鳥の石にヒビが入ってたからなんじゃね?
下半身しか蘇ってないので、目も見えなければ耳も聞こえない。ハーネス付けて犬コロ扱いされます。
ローレル・ライトフット(ジュリア・ルイス=ドレイファス)
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イアンとバーリーの母。2人が旅に出てる間、留守番してんのかと思いきや同じような冒険に出るアクティブな母ちゃん。
不死鳥の石の呪いにも果敢に戦ってたので、割と大活躍。
声優にはジュリア・ルイス=ドレイファス。
実はディズニーではお馴染みで『バグズ・ライフ』のヒロイン、アッタ姫や『プレーンズ』なんかにも出演しています。
ちなみに日本語吹替版では芸人さんのハリセンボン近藤春菜がやってるとのことで、吹替版は完全に詰んでます。
こういう客寄せってワンシーンしか登場しないような、もっともっと脇役でやってほしいよね。母ちゃんほぼ全編出てたじゃん。
ちなみに今回、子供向きの映画であることとコロナウイルスの影響もあってか字幕版を上映してるところが少ないので地方民は要注意。
コーリー(オクタヴィア・スペンサー)
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かつて凶暴な戦士で酒場をやってたけど、今じゃファミレスのオーナーになったマンティコア。
映画を盛り上げる役割として重要なんだけど、キャラが意外と薄味。
キャストにはオクタヴィア・スペンサー。お母ちゃん感強いオクタヴィア・スペンサー最近いっつも何かに出てない?
イアン役のトムホとは『ドクター・ドリトル』で共演。彼女はアヒル役でしたね。『ズートピア』ではカワウソの役もやってました。あのカワウソ可愛すぎ。
コルト・ブロンコ(メル・ロドリゲス)
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ローレルの今の恋人。ケンタウロスで警官。
どうでもいいけど車がケンタウロス用に改造されてないなんてこと普通ありえないでしょ。警官なのに毎度毎度ケツがドアにつっかえんのかよって思って見てました。
『マクマホン・ファイル』なんかにも出演しているメル・ロドリゲスがキャスティング。
映画『2分の1の魔法』の感想 ※ネタバレ注意
という訳でここからが感想になります。ネタバレを含んでいるのでもしまだ映画を見てないって人はご注意を。
父子の話と思わせつつ実際は兄弟の話
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そうなんすよ。正直、序盤の時点のグウィネヴィアでお迎えに来たあたりで予想ついてたというか。
どうせ父ちゃん復活しないとか、イアンは父ちゃん復活に合えないとか、今の家族でいいんだよ的なメッセージなんだろ!って思ってたらまんまとその通り過ぎて逆にスカッとしましたw
魔法というファンタジー要素を使いつつ、中身はリアリティ。夢も魔法もないピクサーらしい冷酷なオチ。
まあ冷酷とか言いつつ、兄弟の話だってことで感情移入して結構ウルウル来ちゃったんだけど。弟が大好きなもんで。
イアンとバーリーの声優はそれぞれトム・ホランドとクリス・プラットのMCUコンビ。
口の中にカエル隠しながら「世界の孫」なんて呼ばれてるトムホの弟っぷりはやっぱり良いですね。
アイアンマンの愛犬にして媚々させる悪趣味な配役やってた『ドクター・ドリトル』よりは大いに良かったです。
でもクリプラのバーリーのダンスシーンはむしろクリプラ本人に踊ってほしいと思ったガーディアンズファンの私でした。
父ちゃんの下半身にリードつけんじゃねえ
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コレ思いませんでした?
スゲー趣味悪いというかドン引きしたというか。脚本家の脳みそ腐ってるとしか思えませんでしたね。
仕方ないっちゃ仕方ないのかもだけど、もうちょいやり方なかったのかな。
父ちゃんは下半身しか蘇らなかったから、耳が聞こえません。←わかる
だからワンコみたいにハーネス付けて引っ張ることにしました。←はぁ?
もうね、マジでドン引きした。
んでもって不死鳥の石を探す旅の終わり、水があふれてくる中で息する必要ない父ちゃんをおもりにするシーンはヤバいでしょ。
ハーネスで引っ張って操るとか、もはや人権侵害になりそうな倫理観です。
というか父ちゃんは耳聞こえないのよ。だからそもそも旅に出てるということすら理解できてないかもしれないんよ。
イアンとバーリーが失敗した魔法をもう一度やり直して成功させようとしているということにすら気づいてないのかもしれないんよ。
画的におもんなくなるけど、「下半身と耳だけ蘇った父」にした方がよかったんじゃない?って感じでした。
「下半身だけ復活」という設定ありきでストーリー考えたから気持ち悪いんじゃないの?
最近のピクサーはおもんない。ピクサーはオワコン
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ぶっちゃけますが私はマジでピクサーオワコンだと思ってます。
ピクサーって元々はCGアニメーションが売りだったわけですよ。
そもそも元はアニメ会社じゃなかったし、ILMのコンピューター部門とかだったんですよね。(この辺りの知識はスター・ウォーズに詳しいとわかる)
今から20年ほど前はピクサーのCGアニメーション技術は抜きんでてましたし、それだけが持味でも独り勝ち状態だったんですよね。
だけど最近はユニバーサルのイルミネーションだったり、他のCGアニメの技術がピクサーに追いついてきてるんですよね。
挙句の果てには同じ仲間の「ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ」がCGアニメに移行しちゃったので、ピクサーの売りが淘汰されつつあります。
そのためなのかここ10年ほどピクサーは「夢のない大人向けのアニメ」みたいな路線なんですよね。『トイ・ストーリー3』が全盛期だった感じ。
マイク・ワゾウスキに「夢は叶わない」と言わせたり、子供たちのヒーローライトニング・マックイーンは年老いて引退させられたり、一生懸命頑張ったウッディは捨て去られ、というか捨てたことにすら気づかれず。
んでもって『2分の1の魔法』も漏れなく、イアンは念願の父に会うことが出来ないという切なさ。
大人は理解できても子供は理解できないような、夢のないアニメ映画ばかりになってます。
というわけで私はこの路線のピクサーが嫌いです。
他の皆は同じようなこと思ってないのかなーと思ってちょっと調べてみました。以下はピクサー長編映画全作品のIMDbによる得点です。IMDbは海外版フィルマークスみたいな感じのレビューサイト。
- 『トイ・ストーリー』8.3
- 『バグズ・ライフ』7.2
- 『トイ・ストーリー2』7.9
- 『モンスターズ・インク』8
- 『ファインディング・ニモ』8.1
- 『Mr.インクレディブル』8
- 『カーズ』7.1
- 『レミーのおいしいレストラン』8
- 『カールじいさんの空飛ぶ家』8.2
- 『トイ・ストーリー3』8.3
- 『カーズ2』6.1
- 『メリダとおそろしの森』7.1
- 『モンスターズ・ユニバーシティ』7.3
- 『インサイド・ヘッド』8.1
- 『アーロと少年』6.7
- 『ファインディング・ドリー』7.3
- 『カーズ/クロスロード』6.7
- 『リメンバー・ミー』8.4
- 『インクレディブル・ファミリー』7.6
- 『トイ・ストーリー4』7.8
- 『2分の1の魔法』7.4
分かりにくいんですが、全盛期である『トイ・ストーリー3』の次、『カーズ2』辺りから平均的に得点が下がっています。
『トイ・ストーリー3』以前の作品は8点台が7つあるのに対し、『カーズ2』から『2分の1の魔法』までの平均点はたった2つ。どころか前半にはなかった6点台が3つもあります。
やっぱりピクサーは全体的に評価が下がってるのは間違いなさそう。
目新しさがなくなったからか、飽きられ始めたのか、大人向け路線がウケていないのか、理由は分からないけど。
『2分の1の魔法』原題英語タイトルOnwardについて
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映画『2分の1の魔法』が英語の原題タイトルと全然ちげーじゃねえかって公開前からちょっと話題になってたんですよね。
原題の『Onward』は翻訳サイトによると下記のような意味。
前方への、前進的な、向上する
出典:Weblio英和辞書
そもそも原題が抽象的すぎて意味不明なので、日本語タイトルを『オンワード』みたいにできなかったのは当然ですね。
でも英語タイトルが抽象的すぎて意味不明なのは何も『2分の1の魔法』に限ったことじゃない。ピクサーを含むディズニー映画は割とこういう抽象的なタイトルが多い。
- アナと雪の女王→Frozen(凍った)
- 塔の上のラプンツェル→Tangled(もつれた)
- カールじいさんと空飛ぶ家→Up(上昇)
他にもメリダとかあるんだけど割愛。
知識と創造力が乏しい人はこれを見て、意味わかんねーシンプルイズベストかよワロスwwみたいなこと言う人いるんだけど、これって普通に考えてダブルミーニングなんですよね。
アナと雪の女王はエルサの能力って意味もあるけど、エルサの心そのものが凍り付いてしまった的な意味も込められてる。
ラプンツェルも同様で、もつれた長い髪をイメージさせつつも偽物の母ゴーテルなどとのこじれた人間関係を示唆する意味も込められてる。
『2分の1の魔法』の原題『Onward』もそれっぽいところがある。
onwardって言葉はそもそも、○○以降みたいな使われ方をするのが多くて、「12時以降は時間あります」的な時にも使われる言葉。
表面上の意味としては『2分の1の魔法』は、かつて魔法があふれてた世界から一変して現代はペガサスが野良化してたり、テクノロジーが進化しているので、「魔法があふれていた時代"以降"の世界」ってニュアンスなのかと。
んでもって裏面的な意味のダブルミーニングは、「これまで父ウィルに憧れ続ける反面兄バーリーを疎ましく思っていたイアンが、旅に出て"以降"人生が一変した。」的な意味もあるのかと。
まあネイティブなジャパニーズな私には分からないニュアンスもあるんだろうけど。
スペクターの話とLGBTQ+
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今作『2分の1の魔法』ではLGBTQのL、レズビアンであることがガッツリと描かれたキャラクター、スペクターが登場しましたね。
これにより伝統文化が色濃く残る国ではバッシング浴びたり色々とトラブルが起きてるみたいですが…。
実はディズニーはこれまでもちょこっと背景キャラクターに同性愛者を示唆するキャラを登場させたりしてまして、ディズニープラスのオリジナルピクサー作品では、ゲイの男性が両親にそのことを告白するテーマの短編が配信されたりしてます。
この短編たまたま母と見てたんだけど、スゲーため息疲れたわw
ストレートなんですが姉ちゃんにゲイを疑われたこともあるので、多分マッマもそう思ったんでしょうな。
それは良いとして、今後私たちただの映画好きはLGBTQ+の問題とどう付き合っていけばいいのか改めて考えさせられたんですよね。
『2分の1の魔法』の感想と主軸ズレるんだけど、本当にそう思う。
シスジェンダーのスカジョがトランスジェンダー役を演じようとして降板されることがあったんですよね。
最近もハル・ベリーが同様のパターンで降板させられたんだけど、こっちはしょうもないこと言ったので自業自得でして。
マイノリティという言葉はそもそも少数派を意味する言葉ですし、多様性とはまたちょっと違うと思うのよ。
最近はマイノリティ(少数派)なのにメインキャラの半分以上がマイノリティみたいな作品も増えてきてまして、ポリコレ反対派の声も相対的に大きくなってきてます。
『2分の1の魔法』のスペクターの場合、むしろ多様性を重視するためにとりあえず登場させときました程度のご機嫌取りだったので、出てても出てなくてもストーリーに影響ないぐらいでしたが。
映画におけるLGBTQ+についてはいつか意見垂れ流しの記事書いてみたいけど、多分書かないだろうね。
ちょっと脱線してしまいましたが、私たち映画好きはもう少し理解を深める必要があるのかと思います。
最後に
以上、いかがだったでしょうか。
ストーリーを深追いしなければこれまでのディズニーピクサー同様に面白いですし、兄弟愛にはウルッときましたし決して駄作ではないです。ただやっぱり子供向きアニメは多少、夢のあるエンディングが欲しいです。
個人的には近年だと『リメンバー・ミー』がベストですね。ピクサーはやっぱりストレートにハッピーエンディングが良いです。
『リメンバー・ミー』含めディズニーピクサー映画はディズニープラスで見れます。『トイ・ストーリー4』もあるから多分全作見れる。
その他多数のピクサー短編、オリジナルもあるので是非。初回1カ月は無料で使えるので試さな損です。
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