出典:マニアック | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト
どうもでょおです。先日、9月21日からNetflixで新しいオリジナルドラマ『マニアック』が配信開始になりました。
以前セット・フォトの写真とかを見ていたんですがそれほど興味をそそられることもなく。
ジョナ・ヒルとエマ・ストーンのダブル主演の本作は、ぶっちゃけキャストだけ大物を入れた残念ドラマだろうと思いつつ見たんです。だってNetflixにはウィル・スミスとジョエル・エドガートンの『ブライト』とかもあったじゃん。
でもこれがいい意味で大ハズレ。ものすごく面白かったので早速感想を書きたいと思いました。むしろここまでの傑作には早々出会えない。ここまでストーリーに引き込まれ、ここまで感動して、ここまで心温まるドラマだとは思ってもいませんでした。
今回は未視聴の方にも向けて途中まではネタバレなしでお届けしますのでご安心ください。途中で分かりやすくアナウンス入れます。ではどうぞ。
『マニアック』の概要
大まかなジャンルはSFと分類すべき作品かとおもいます。ただ特定のジャンルに縛られていないというのが『マ二アック』の特徴だと思います。メインはSFですがそこから色々なジャンルを内包した特殊なドラマです。
たまにあるオシャレ系SFって感じでしょうか。『レギオン』とかリメイク版『プリズナー No.6』のようなレトロポップも取り入れられた作品です。つまり私の大好物ですよ。レトロな雰囲気たっぷりのIBMのロゴのようなタイトルロゴもめちゃめちゃカッコいいです。
そんでSF、SFしてません。第一話、二話あたりはこのドラマをどのように見れば良いかさえ分からないくらい。
『マニアック』は全10話のリミテッドシリーズです。リミテッドシリーズはいわゆる連続ドラマと違い、シーズン2などの続編が作られないシリーズのことです。
このブログはドラマや映画をたくさん見ている人が多いので言うまでもありませんがマニアックは日本でいう、オタクや収集家の意味ではなく狂人やイカれた人間を指す意味なので、別に何かのプロフェッショナルが出てくるドラマではありません。
『マニアック』のあらすじ
舞台は私たちの住む現代によく似たところで、その時代もよく似ています。ところどころ異なる部分がありますが未来には感じません。
主人公オーウェンとアニーは心の病気を治す治療薬を開発している企業の治験に参加します。機械の故障により2人は実験中、心の中を共有してしまうことになります。この実験は簡単に言うと、過去のトラウマやそれを乗り越えるためのもので、夢に似た世界でその目的を達成するために夢で色々な出来事がおこります。
機械の故障により2人は現代とは全く別の世界で全く別の人物として一緒に過ごすことになります。
雰囲気もテイストも全く違いますが『マトリックス』とか『クラウド・アトラス』に近い部分がありますね。2人はマトリックスのように別の世界に行き、クラウド・アトラスのように色々なストーリーがあります。
あるときは80年代の夫婦、あるときは40年代(多分)のパーティーというように色々な世界を体験します。キャラクターも設定も異なり多少性格も違うので複数の短編映画を楽しむような魅力もあります。
『マニアック』のキャスト・登場人物
出典:Fail:Emma Stone by Gage Skidmore.jpg - Vikipeedia, vaba entsüklopeedia
まずはエマ・ストーン演じるアニー・ランズバーグ。エマ・ストーンが頻繁に演じる感じのキャラクターです。口の減らない不良少女って感じ。少女じゃないけど。それでいて心に闇を抱えています。特にと妹との間に色々問題があり、それが行動に影響しています。
エマ・ストーンの魅力がもっとも発揮されるキャラクターといってもいいかと思いますね。
出典:ファイル:Jonah Hill WonderCon, 2012.jpg - Wikipedia
そしてジョナ・ヒル。なんかめっちゃ痩せてる。ジョナ・ヒルの演じるオーウェン・ミルグリムはニューヨークの富豪の五男。兄たちはいかにも金持ちの息子で性格クソのリア充なんだけどオーウェンは内気で統合失調症と診断されています。存在しない兄グリムソンが見えます。
ジョナ・ヒルは『21ジャンプ・ストリート』や『ウルフ・オブ・ウォール・ストリート』のようなはっちゃけたキャラも好きですが、『マネー・ボール』での演技もあり本作マニアックのような内気なキャラも良いです。飄々としたアニーに振り回される頼りないオーウェンのバランスも良いです。
その他にジャスティン・セローが母親と問題のあるマントルレイ博士役を演じ、その母親にはサリー・フィールドがキャスティングされています。
あと『エクス・マキナ』のキョウコ役のソノヤ・ミズノも出てますし、同じくNetflixドラマの『オザークへようこそ』で唯一爪痕を残したルース役ジュリア・ガーナーがエマ・ストーンの妹役で出演しています。
【感想】オザークへようこそ|ネタバレなし評価!Netflixオリジナルドラマ
『マニアック』の監督は次期ボンド映画を担当する監督
Netflixオリジナルドラマ『マニアック』は本当に美しい作品です。何とも言えないアーティスティックな魅力があります。
そんな『マニアック』の監督を務めるのがキャリー・ジョージ・フクナガ監督。キャリー・フクナガは先日ダニー・ボイルに代わって007の25作目を監督することが発表されました。正直、まだまだ担当した作品も少なくダニー・ボイルほど名の馳せた監督ではありませんが『マニアック』を見ればその力量がわかるかと思います。もう007が楽しみで仕方ありません。
日系人というためか、時折坂本龍一の音楽のような切なくもほっこりするサウンドも印象的でした。
ここからネタバレ感想が始まります
『マニアック』の感想
とにかく初めはそれほど期待して観たわけではないんですよ。ぶっちゃけ1話、2話と恐ろしいほど退屈なペースでストーリーが始まりました。延々と本題に入らず2話分丸ごとオーウェンとアニーの現状を掘り下げたプロローグに使ってしまいました。
途中でやめちゃうことも考えましたがこの作りこまれた独特の空気ある世界が好きでハマってしまいました。私はドラマ『レギオン』が大好きだとこのブログで度々言ってまして、『レギオン』はX-MEN原作のコミックものですがアメコミファンからはボロカスに言われた作品です。ところがその芸術的な世界観は私のようなファンが一定数います。『マニアック』はその雰囲気に似ているところがあります。特に研究室での描写ですね。
カオスなところもいいです。例えば、はじめてアニーとオーウェンが共有した80年代テイストな世界観は昔のアクションバディ映画のようで、キツネザルを助けるという奇怪な内容も大好きです。関係ないけどたまたま私がワオキツネザル好きなんだわ。
ただこういったエンタメだけに大振りしていないのが何より一番良い。月並みな言葉で言うと「中身がある」「深い」。
私たちは何かしら悩みやトラウマや闇を抱えて生きている人がほとんどです。そしてその多くが悩みと向き合い乗り越えず、時間が解決し風化してくれるのを待っているだけです。ドラマ『マニアック』はコメディやエンタメを通して悩みや闇に向き合うことを考えさせられる作品でした。根底には愛や人と人との繋がりがテーマになっていますね。
予測不可能で引き込まれる面白い作品でありつつも、しっかり考えさせられる話で、このバランスが非常に良い。取って付けたように見えないところが良いです。
ぶっちゃけ最後の方、アニーが妹の死を乗りきってお別れしたシーンは泣きましたもんね。
実はアニーははじめからいなくて全てがオーウェンの妄想だったという考察もありますが、もうそんなことはどうでも良いんです。オーウェンの心にある本当の問題は妄想癖ではなく、人との関わりを断っていたことや、兄の裁判で嘘の証言をしようとしていたことです。オーウェンは兄の裁判で事実を証言し、例え妄想でもアニーと繋がり深い関係を築こうとしたことにこそ意味があります。
最後に
個人的にエマ・ストーンってあまり好きじゃないんですよ。皮肉たっぷりで嫌味なキャラクターが多くて彼女自身が意地悪そうな人間に見えます。
でもドラマ『マニアック』は本当によかった。エマ・ストーン以外のキャスティングは考えられないんじゃないかと思うぐらい。
SFなので突拍子もない内容ですが、そこにある人間の感情はリアルなものでSF嫌いの人間でも比較的楽しめる作品なんじゃないかと思います。