出典:The Highwaymen | Netflix Official Site
どうもでょおです。
今月もNetflixは好調で私が感想を書くだけでも3本目。たくさんリリースしているせいか全体的に注目度が低い印象も受けますが。
そして今日紹介するのはNetflix映画『ザ・テキサス・レンジャーズ』です。
簡単に言うと、実在の犯罪者「ボニーとクライド」を捕まえたテキサスレンジャーの話。主演はケビン・コスナー、その脇をウディ・ハレルソンが固めます。
一応ネタバレを含む感想なので見たくない方はご注意ください。まだ見ていない方はとりあえず予告編をどうぞ。
予告編はこちら。
→『ザ・テキサス・レンジャーズ』予告編 - Netflix [HD] - YouTube
Netflix映画『ザ・テキサス・レンジャーズ』について
あらすじ
冷酷な銀行強盗ボニーとクライド逮捕に駆り出された2人の元テキサス・レンジャーが、経験に裏打ちされた直感を頼りに悪党を追い詰める。史実に基づく犯罪ドラマ。
とのこと。これまで何度か映画化されてきた「ボニーとクライド」の実話を今度は捕まえる側から描こうという試みですね。
この有名すぎる犯罪カップル、ボニー・パーカーとクライド・バロウはご存知の通り実在の人物。ワルなクライドと出会った普通の女性ボニーがクライドに惹かれ意気投合し、犯罪を繰り返してバロウズギャングと呼ばれる強盗団になります。
大胆な犯行手口や彼らの関係性からバロウズギャングは世間から英雄視されますが、最後は無惨な死を遂げます。
映画や音楽などで英雄扱いされる彼らが「犯罪者」として描かれるのは珍しい。
ボニーとクライドの映画といえば『俺たちに明日はない』ですよね。
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原題はボニーとクライドというタイトルで、主演のクライド・バロウにはウォーレン・ベイティ、ボニー・パーカーにはフェイ・ダナウェイのクラシックです。
この映画の中で途中、ボニーたちに捕らえられたテキサス・レンジャーが登場しました。このテキサス・レンジャーはボニーたちに捕まえられたことをきっかけにボニーとクライドを追いつめます。
このテキサス・レンジャーこそが映画『ザ・テキサス・レンジャーズ』の主人公フランク・ヘイマー(ハマー)だという訳です。
キャスト・登場人物
そんなフランク・ハマーを演じるのはケヴィン・コスナー。90年代はアイドル的人気を誇ったトップスターのケヴィン・コスナーですが、『モーリーズ・ゲーム』や『ラスト・ミッション』など、ここ10年程はカッコいいおっさんを演じることが多くなりましたね。
出典:The Highwaymen | Netflix Official Site
1955年生まれで現在64歳とのことなので、まだまだ若い役やれると思うんだけどどうよ?『ドラフト・デイ』の時は若々しかったよね。
フランク・ハマーはかつてブイブイ言わせてたテキサスレンジャーの一人で、素行の悪さからテキサスレンジャーは解散していました。
そんな中やりたい放題やってるバロウズギャングを捕まえるためにハイウェイマンとして再雇用されます。
そしてフランク・ハマーの相棒メイニー・ゴールトを演じるのはウディ・ハレルソン。
出典:The Highwaymen | Netflix Official Site
相変わらず何やらせても良い。
あらゆるジャンルに引っ張りだこで『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』や『ヴェノム』のような娯楽大作にも出演している傍ら、『スリー・ビルボード』のように性格俳優としても活躍しています。
ウディ・ハレルソン演じるメイニー・ゴールトはかつてのフランク・ハマーの仲間です。他の元テキサス・レンジャーの仲間がほとんど生き残っていなくて、メイニー・ゴールトが追跡に参加することになります。
また他のキャストとしては『ミザリー』の怪演がお馴染みのキャシー・ベイツ。最近はNetflixのドラマシリーズ『ハイ・ライフ』などのコメディの印象も強いですね。
出典:The Highwaymen | Netflix Official Site
残念ながらかなりのチョイ役ですが知事のファーガソンとして出演しております。
他にはハマーとメイニーの上司役に一度見たら忘れない名バイプレイヤー、ジョン・キャロル・リンチが出演しております。
出典:The Highwaymen | Netflix Official Site
他には『フィアー・ザ・ウォーキングデッド』に出演以降、急激に老けたキム・ディケンズがミセス・ハマーとして、スティーブン・キング映画作品でお馴染みのウィリアム・サドラー、トーマス・マンなどが出演しています。
出典:The Highwaymen | Netflix Official Site
製作陣
そんなNetflix映画『ザ・テキサス・レンジャーズ』でメガホンをとるのはジョン・リー・ハンコック監督。
ディズニークラシックの金字塔メリー・ポピンズを映像化する舞台裏を描いた『ウォルト・ディズニーの約束』やマクドナルドが世界的ファストフードになるまでを描いた伝記映画『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』などの監督です。
かつて大作映画でメガホンをとったとき大コケしましたが、伝記物をヒットさせたことでこの手の映画を任されることが増えました。
実話がベースになっている話だけあり伝記映画に強い監督を起用したという流れなんでしょうね。
Netflix映画『ザ・テキサス・レンジャーズ』の感想・解説
ケヴィン・コスナーはいつまで経ってもかっこいい
かつてアイドル的人気を誇るスーパースターだったケヴィン・コスナーも今じゃ初老。あのカッコよさは失われどんどんシワくちゃになっていってしまい…
ってんなわけない。
むしろ年を取るごとにかっこよくなっててるじゃねーか。なんていうかねクリント・イーストウッドみたいな円熟味がある。
クリント・イーストウッドのように色んな映画に出演しつつ、自分自身がスーパースターであり続けるスタンスみたいなのがカッコいい。
演じる役柄も西部劇のヒーローやテキサスレンジャー、フットボールのスカウトマンなど。アメリカのヒーロー役が多いところもなんとなく似てますね。
『ダンス・ウィズ・ウルブズ』で監督が兼任できる俳優としてしらしめたケヴィン・コスナーですが、監督業の方はイーストウッドと違いやってませんが。
伝説のテキサス・レンジャーと呼ばれたフランク・ハマーが現場復帰する時に、ガンマンとしての腕前を確認するシーンで外しまくるんですが、これってどう見てもクリント・イーストウッドの『許されざる者』。その後マシンガンを使用してたりとオマージュを感じます。
史実だからこそ重い話
この映画はアクション映画のようにド派手なアクションはなく、バディ同士の軽妙な掛け合いがあるわけでもありません。
かつては伝説と呼ばれた男たちが政府に蔑まれ引退し、退屈で望まない隠居生活から抜け出すために、ボニーとクライド達の逮捕に死力を尽くす話です。
ハマーとメイニーはテキサス・レンジャーの肩書きを取り戻すこともできず、ハイウェイマンとして二人だけで任務に挑みます。
ロクな設備もなく、FBIや管轄害の警官達から疎まれ相手にされないにも関わらず、執念でバロウズギャングを捕らえたということが事実であること。ハマーとメイニー、ボニーとクライド、どっちもが倫理的に間違っているというところ。
それらをゆーっくりと抑揚なく描いた重厚なドラマになっています。強盗を繰り返し、殺人を何回も犯しているボニーとクライドはハマー達の目には終始悪魔のような存在として映されていましたが、映画のラストではじめてボニーとクライドの顔が映され、その幼さに気が付くようになってる。
とんでもないバケモンだと思ってたけど実際に合ってみたらただの子供だった。そんな子供だと気が付いたのに無数の弾丸を打ち込むしかなかったというヘビーなラストでしたね。
まあ『俺たちに明日はない』を見てるから最後撃たれまくって死ぬのはわかってたんだけど。
映画の原題、邦題問題
Netflixが究極にダサい邦題を付けるのはもはや定番ですが、日本の邦題センスはヒドいものが多い。私はワイルドスピードの専門サイトも運営しているのでワイルドスピードを例に出しますが、先日発表された最新作「ホブス&ショウ」の邦題なんて「ワイルドスピード/スーパーコンボ」ですしね。ダサすぎてもう笑うしかない。
そんな訳で『ザ・テキサス・レンジャーズ』も例外ではありません。『ザ・テキサス・レンジャーズ』の原題は『ザ・ハイウェイマン(The Highway man)』でした。
これはハマーが肩書をもらったシーンから来てます。本作はあくまで「元テキサスレンジャー、現ハイウェイマン」の男たちの話ですから、絶対ハイウェイマンの方が適切なわけです。
テキサスレンジャーっていえば元々、対先住民に結成された騎馬隊ですから『ローン・レンジャー』とかの西部劇っぽい響きに聞こえません?
『テキサス・レンジャーズ』っていうダセェ西部劇なんかもありましたし。
テキサス・レンジャーズ (字幕版)
だけどとっても退屈な映画だよ
ケヴィン・コスナーのかっこよさ、ウディ・ハレルソンの魅力、重厚なドラマがある『ザ・テキサス・レンジャー』ですがぶっちゃけかなり退屈です。
アクションシーンは冒頭の脱獄のシーン以降ほとんど顔を見せることなく、地味すぎる捜査のシーンが延々と流れます。これじゃ最後までたどり着けず挫折しちゃう人もいると思います。
そしてハマーとメイニーのコンビ感が皆無。彼らの関係性が深く掘り下げられることはなく、カップルとしてかなりヒドいものになっています。相棒なはずなんだけど相棒っぽい感じがしないんだよね。
映画の内容は鬱になるようなヘビーなものでとてもいいのに映画自体が退屈で眠たくなってしまうのはとてももったいないかなと。
最後に
まあなんだかんだ言いつつケヴィン・コスナーが好きなのでよかったです。ウディ・ハレルソンも好きだしね。あとこの手の映画はやっぱりセットが好き。
何十年も昔の車や道具をどうやって揃えたのか、とかイカした衣装は当時の物と比べてどのようなアレンジが加えられてるのかとか考えるのが好き。
アタリといえばアタリ、ハズレといえばハズレ。まさにそんな感じの映画でした。