どうもでょおです。私はグラフィックデザイナーとして5年間会社員勤務、その後独立してフリーランスのデザイナーになりました。
一応チーフデザイナーというポジションだったので就職面接なども対応することがあったんですが、やっぱりグラフィックデザイナーって未だに人気のある職業のひとつです。
ただグラフィックデザイナーは専門職なので、未経験や異業種からの転職はかなり厳しい世界だったりします。
私は専門学校卒業でしたが、それでもやっぱり就活はかなり厳しくて、学校卒業後も半年以上無職でした。専門学校の同級生もグラフィックデザイナー職に就いたのは3~4割程度だったので入り口はかなり狭いと言えます。
結局グラフィックデザイナーの仕事に就くことが出来た私は「運が良かった」訳なんですが、今思い返すともっと戦略的に就活すればもっと早くグラフィックデザイナーになれていたのになと思います。
昔の私のように苦労している人のためになればと思い、今回は「未経験の人がグラフィックデザイナーになる方法」を実体験交えてお話ししようと思います。
まずはとにかく業界に入るしかない
ハロワでもサイトでもザーッと見るとわかるかと思うんですが必ずと言っていいほど書いてあるんですよ。
「実務経験○年以上」
といった感じに。なので専門学校新卒生や転職組はそもそも面接資格すらないのが現在のグラフィックデザイナー業界の現状です。
なのでまずは「未経験募集」の会社へ意地でも入社する必要があります。
求人出していた側の私から言わせてもらうと、実務経験○年はあくまで目安。例えば「実務経験3年以上」という求人に実務経験1年の人が応募してきても構いません。要は実務経験3年もあれば身に付く能力を1年で身に付ければいいだけの話です。
たとえ実務経験1年でも業界の動きや流れを知っているかどうか、業界の雰囲気のことを知っているかどうかという部分が重要なんです。
実務経験ゼロと1年じゃ大違い、だけど実務経験1年と3年はそこまで大きく変わらなかったりします。
なので「まずは業界に入ること」を意識してください。トヨタの社長が終身雇用は崩壊と言ってることからもわかる通り、そもそも就職した会社に何年も居続ける必要はないです。
言い方は悪いですが踏み台にすればいいだけ。
グラフィックデザイナー職は「転職してスキルアップする」みたいな感覚が業界にあるので、採用する側も終身雇用を想定していないと思います。
なのでブラック企業でもいいからまずは「実務経験者」という資格を獲得してください。そうすればこの先いろいろな会社に転職できる資格が手に入ります。
グラフィックデザイナー職は3種類ある
グラフィックデザイナーと一口に言っても実は3パターンほどの種類に分かれているんですよね。未経験者や学生はこのあたりがイマイチわかっていない人が多い感じがします。
グラフィックデザイナーの3パターンはこんな感じに分かれます。
- 広告代理店のグラフィックデザイナー
- デザイン事務所のグラフィックデザイナー
- 社内製のデザイナー
一番上の広告代理店のグラフィックデザイナーというのはまさに大手の会社ですね。有名どころだと電通や博報堂などがこれに当てはまります。
会社内には営業やグラフィックデザイナーがいて、色々な会社の広告の製作を行います。私の勤めてた会社はこのパターン。零細企業だったけど。
続いて2つめ。いわゆる「デザイン事務所」と呼ばれるものです。数人から十数人程度の会社で、社内に営業はあまりおらず、基本的には大手代理店から仕事を受けて広告を製作することが多いです。分かりやすく言うと下請会社です。
そして3つめ。これが一番特殊。ある会社内にあるデザイン部などが当てはまります。例えば和菓子を販売している会社のデザイン部で和菓子のパッケージや販促物、社員の名刺などの製作を行います。
その会社の広告物しかデザインできないのでデザインの幅も広がらず、スキルアップが難しいのであまり強くはおおすすめしませんね。
未経験者がグラフィックデザイナーになる方法
ここからは実務経験のない未経験者がグラフィックデザイナーになる具体的な方法、おすすめの会社選びを紹介しようと思います。数パターン用意しているので自分の状況にあわせて見てください。
新卒で人気者なら大手に行くのがおすすめ
まず新卒生から紹介します。グラフィックデザイナーの大学や専門学校を卒業する新卒生の場合、やはり大手に行くのがおすすめです。
電通のような規模の会社ではなくともそれなりに力を持った広告代理店を受けるのが良いです。
ただしコミュニケーション能力が高く人気者に限ります。
新卒を雇う余裕のある会社が新卒を雇う時に見ているのは能力ではありません。マジレスするとポートフォリオもセンスも求められていません。ちょっと悔しいけど学生さんの能力を買う会社なんてほぼないんです。
じゃあどこを見ているのかというと「人柄」です。あなたと一緒に働きたいと思うか、あなたに仕事を教えて育てたいと思うか、そういう部分を見ています。
あなたがクラスの人気者なのか、異性にモテるような人なのか、そういう部分まで見られています。作品集、ポートフォリオはあくまでそれを測る指標のひとつです。
「こんなに一生懸命作り込んでるから真面目なんだろう」とか「プロフィール読む限りリア充っぽいな」とか「活動的っぽいから一緒に働いたら楽しいだろうな」とかそんなところが実際見られています。
なのであなたが人気者でモテるならそれを前面に押し出して、それなりに大きな広告代理店を狙って就職活動するのがおすすめです。
第二新卒または人付き合いそこそこなら「デザイン事務所の会社」がおすすめ
「ぶっちゃけ恋人いない」とか「新しい友達ができない」とか人望が微妙な人なら大手広告会社は無理かと思います。新卒を採用するような広告代理店は能力よりも「可愛げがあるかどうか」を重視するので。
そもそも第二新卒ということはそれだけで「就活詰んだヤツ」という烙印が押されているのでぶっちゃけ厳しいです。
第二新卒または人付き合いそこそこ(または苦手)っていうなら「デザイン事務所の会社」がおすすめです。
デザインを下請けとして請け負っている会社ですね。こういう会社の目的は「新人を育てること」よりも「人手がすぐにでも欲しい」ってところが多いんです。逆に言うと新人をしっかり育てないから人の出入りが激しい、つまり一年中求人を募集にかけてたりします。
なので即戦力として使えるスキルさえあれば多少コミュ障でもブサメンでも雇ってくれる可能性が高いです。
人の出入りが激しいということは、環境はそれほど良くないです。ぶっちゃけブラック企業もあると思います。でも先ほども言った通り、ある程度そこで経験を積んでしまえば「実務経験者」になれるので、次回転職時にめちゃめちゃ有利になれます。
注意してほしいのはデザイン事務所の「会社」だということ。個人事業主のデザイン事務所はあまりおすすめしません。
つまり名前に株式会社や有限会社などがついているところを受けましょう。
名前に○○会社が付いていない個人事業主でやってるところは、儲けも少なく余力もそれほどないです。だから基本的には代表者がグラフィックデザイナーで、かなりの能力を持っています。なので「使えない人間を雇うぐらいなら自分で倍働く」ってスタンスが多いので、実はハードルが高いです。
一方、法人化されているデザイン事務所では社長は社長業に専念する必要があるので、多少能力が低くても採用されやすいです。法人は個人事業主と違って資金も力もあるのでおすすめです。
フリーペーパー発行会社はガチでおすすめ
第二新卒や異業種からの転職組でもおすすめできるのが実はフリーペーパー発行会社。
フリーペーパーってわかりますか?喫茶店とかファミレスの入り口なんかに設置してあるタダでもらえる冊子です。これらを作ってる会社に就職するのはかなりメリットがあります。
- 仕事が大変なので入れ替わりが激しい
- 納期がタイトなので作業効率アップが身に付く
- 色々な広告が作れるのでスキルが磨ける
フリーペーパーって冊子にもよるんだけど毎月発行しますよね。発行しないとお金が入ってこないから。
毎月何ページもある冊子を埋めて発行しないといけないんですよ。なので実は結構激務です。だからパートやアルバイトをたくさん雇ったり入れ替わりが激しかったりします。なのでタイミングよく面接できれば採用されやすかったりします。
フリーペーパーの会社って採用されやすいだけじゃなくてスキルアップに最適なんですよ。まず仕事のテンポが他のデザイン業に比べて早いので、素早く作業するスキルが身に付きます。
それにフリーペーパーと言っても一応雑誌ですから、色々な種類の広告に携わることが出来てデザインの幅やスキルアップにつながります。
ただ注意してほしいのが「フリーペーパーの中に載ってるフリーペーパー会社の求人」は受けない方がいい。あれは誌面のスペースが埋まり切らなかったから自分の所の広告を入れて誤魔化してるだけなので、そもそも募集する意図がない場合が多いです。
求人サイトやハローワークにその会社が掲載されたら受けてもいいです。
異業種からの転職組はかなりハードルが高い
最後に異業種からグラフィックデザイナーに転職したい人についてですが、ぶっちゃけかなり厳しいです。というか自分が採用担当していた時は軒並み落としてた。
社会人経験が豊富だとしてもグラフィックデザイナーは専門職ですから、スキルは新卒の専門学校生にすら及びません。ほとんど無用の長物ですし、社会人としての経験がある分よけいに扱いづらいです。
新卒のように自社色に染めることができないし、ほとんど強みがありません。
となると新卒や第二新卒に負けないぐらいのスキルを身に着けるしかないです。学生さんは学校で勉強している分、逆に自習していない人も多いので独学で圧倒的なスキルを身に付ければ勝てる可能性は十分にあります。
年の功を活かしてしっかりとしたスキルを身に付けましょう。次の項目でグラフィックデザイナーに必要なスキルを紹介していくので是非目を通してください。
グラフィックデザイナーになるのに必要なスキル
Illustrator・Photoshopのスキル
はっきり言ってこの2つはないと始まりません。どっちかひとつしか使えないという人がたまにいますが絶対にダメ。
実務上どちらか一つしか使わないことはほとんどないので、「片方しか使えない=実務に相当する技能がない」と認識されます。
Illustratorが100点満点でPhotoshop未経験よりも、Illustrator30点でPhotoshop30点の方が遥かに価値があります。
昔は10万もするソフトでしたが今はどっちもサブスク(定額制)で使用できるので、勉強できる環境も圧倒的に向上しました。月間数千円から使用できるので勉強しましょう。
Macは無理して買う必要はないです。AdobeソフトはWindowsでも動きますし、Windows使いでもわからないことをググって自分で調べていける能力があればMacもすぐに慣れます。
版下データが作れること
職業訓練所で勉強しただけでグラフィックデザイナーになろうとする人が結構いるんですが、グラフィックデザイナーで大切なのはデザイン能力よりも版下が作れるということです。
版下というのはいわゆる入稿データに相当するものです。デザインしたデータを印刷用のデータに作り替える作業です。
デザインに関しては結局センスや好みがあるので正解がない世界です。でも版下データは正解がある世界なので、これが作れないのではやる気が疑われます。
デザインと違い勉強さえしていれば絶対にできることなので覚えましょう。特に新入社員はデザイン能力が低いので、そういう時は入稿作業を任されることが多いです。
クソなデザイン案あげるよりも版下データ作れないって言われる方が呆れるのでご注意を。(体験談)
ポートフォリオ
スキルじゃないですが、グラフィックデザイナー職へ応募するならポートフォリオは必須ですね。
どの程度の能力があるのかどうかの指標になりますし、そもそもポートフォリオすらないんじゃ相手にもされないと思います。
今の時代webさえあれば問題ない場合も多いですが、就職面接中にスマホやタブレットで見せるわけにもいかないので、できれば紙媒体も用意した方が良いと思います。
【ポートフォリオの作り方】フリーランスグラフィックデザイナー
Webデザインの基礎知識・コーディング
上記2つがあれば基本的には大丈夫なんですが、グラフィックデザイナーの業界の門は狭いです。出来るだけ多くの能力を身に着けていった方が良いです。
- デザイン能力が抜群だけど他は何も出来ない人
- デザイン能力はまずまずだけどWebデザインが出来る人
あなたが社長ならどっちを採用しますか?グラフィックデザインしかできない人を雇った場合、Webデザイナーももう一人雇わないといけないですよね。人件費が二倍になるんですよ?当然後者の方が採用されやすいです。
Dreamweaverが使えるかどうかを指標にしている会社もあるんですが、ぶっちゃけDreamweaverは使えなくてもいいです。
それよりもコーディングの基礎知識があるか、Webデザインができるかが大事です。
Webデザインは大げさな話「メモ帳」があれば勉強できるのでやっといた方が良いです。
Webサイトの正体は文字の羅列です。HTMLやCSSという言語で書いた文章です。ぶっちゃけ英語よりも取っつきにくいですが、基礎や仕組みを理解しているだけでも就職にめっちゃ有利です。
Webの勉強をしたいなら個人的にはブログ運営がおすすめです。カスタマイズのやり方を知ればWebの基礎が身についていきます。私も元々WebのSEOを勉強するためにブログ運営を始めたところがありますね。
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普通自動車免許
正直どんな職業でもあると有利。なくてもいい会社はたくさんありますが、あった方が有利なのは明らかです。もちろん普段からグラフィックデザイナーが社用車に乗ることはないけど。
出来上がった印刷物を営業さんが顧客へ納品に行く時に他の予定とバッティングしてしまった時など、営業の代わりに車を走らせて納品に行ったりする可能性もあります。
なくて困るものじゃないので出来れば持っててほしいですね。マイカーなくてペーパードライバーでもいいのでもしもの時ようにあればいいと思ってる採用者はたくさんいるはず。
電話応対
グラフィックデザイナーって他の職種、たとえば営業や社長などと違って一日中社内にいるんですよね。なので留守番させられることが多いです。
もちろん電話応対なんて後から身に付くんですが、ある程度の能力がある方が有利ですね。面接で「うちの会社では電話を取ってもらうこともあるけど大丈夫?」って聞いたときダメだって言った人はやっぱり他のこともダメそうだと思ったもんね。
写真撮影
これはあればとても嬉しい能力。グラフィックデザイナーの仕事は広告を作ることなので写真を使用することがよくあります。
もちろんお客さんから写真を提供してもらったり、写真素材買ったりすることもあるんですが、中には写真を撮影してくれってお客さんもいます。
カメラマンを雇うと余分な出費になるので自社内に写真撮影が得意なデザイナーがいればかなり助かりますね。
絵が描ける
グラフィックデザイナーははっきり言って絵を描く仕事ではないです。たまにイラストレーター志望みたいな人が面接に来てたんですが、それってあまり仕事としてはないです。
使用するイラストは素材を買う場合がほとんどなのでわざわざ書くことはほとんどありません。
でもたまーにイラスト描かないといけないことがあるので、絵が描けることはアドバンテージになりますね。
でも絵が描ける人って逆にスポイトで色拾ったりカラーサークルから色付ける人が多いんだけど、あれってグラフィックデザインでは基本NG。「この色のCMYKは何%?」みたいな会話して打ち合わせするので「31.4%です!」とか言うと怒られます。
印刷に関する基本的な知識
上述した色のこともそうなんですが、業界人でないとわからない基礎みたいなことがたくさんあるんですよね。
それって就職してからでも身に付くことなんですが、知識を持っていればなお良しです。印刷の種類とか紙のサイズとかプロセスカラーの掛け合わせや特色についてとかですね。
当たり前のこと知っておいてくれると先輩デザイナーは大助かりなので評価挙がってクビにされることも少ないかと。
マーケティング能力
これも後から身に付くことなのですぐには必要ないのですが、理解できてるか出来てないかでデザインに大きな差が出ます。
勘違いしている人も多いんですがグラフィックデザインはあくまで広告デザインです。デザインしたチラシやポスターを見た人が商品を買ったりイベントに来てくれて初めて価値があります。
広告の力を最大限に引き出すためにマーケティングの基礎があればより良い広告が作れます。
広告は自分のために作るものではなく、お客さんのために作るものでもないです。広告を手に取った人のために作るものです。
それを理解してデザインができているのならポートフォリオの評価が大きく上がるはずです。
最後に
いかがだったでしょうか。未経験からのグラフィックデザイナー就職した私だからこそ言えるアドバイスがたくさんできたんじゃないかと思います。
グラフィックデザイナー業界は年々廃れてきて求人数はすくないのに、希望する人は多いので就職は厳しいです。
グラフィックデザイナーになりたいというのなら自分に合った会社を選んで求人に応募するのがおすすめです。
とりあえず一度入ってしまえば転職には圧倒的に有利なので、ブラック企業でもどこでもいいからまずは業界に足を踏み入れるのがベストな方法だと思います。
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