(C)2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (C) DC Comics
どうもでょおです。アカデミー賞大本命らしい映画『ジョーカー』が公開になりました。低予算映画が大本命っていうのもなかなか特殊な状況ですが、かなり注目を浴びている作品なのは間違いありません。
ライバルのマーベル映画もここしばらくは不在なのでタイミングも相まってヒットしそうな予感。
私も早速『ジョーカー』を鑑賞してきたので、感想を書きたいと思います。感想をザックリとまとめると、「とにかく色々ヤバい」「良くも悪くもこれはジョーカーじゃない」「すげー鬱映画」といった感じですね。
もちろんこの記事は映画『ジョーカー』のネタバレを含んでいますので、未視聴の方は自己責任で。というかむしろ読むな。
未視聴の方はこちらの復習記事をおすすめします。関連記事:これを読まずに【ジョーカー】は語れない|観る前に知っておきたい事を予習
映画『ジョーカー』のあらすじ
「どんな時でも笑顔で人々を楽しませなさい」という母の言葉を胸に、大都会で大道芸人として生きるアーサー。しかし、コメディアンとして世界に笑顔を届けようとしていたはずのひとりの男は、やがて狂気あふれる悪へと変貌していく。
大方はこんな感じのあらすじでした。
重要な要素はこれに加えて母親の看病をしながら二人で暮らしているということ、アーサーは過去に病院にいたということ、マーレイ・フランクリンのバラエティ番組が大好きだということあたりですかね。
あと辛い時とかに笑う発作が出てしまうってのもキーワードですね。
映画『ジョーカー』のキャスト・登場人物
アーサー・フレック/ジョーカー(ホアキン・フェニックス)
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過去に精神病院にいたと思われ、現在は薬を服用しながら大道芸人として働いています。
いずれはコメディアンとして大舞台に立つことを夢見て日々研究してるんだけど、笑いのセンスというかツボが常人とは全く違うので絶望的。
同僚からは気味悪がられてるし、辛いときは笑いの発作が出るので変人扱いされています。
そんなアーサー改めジョーカーを演じるのはホアキン・フェニックス。演技派の名優としてしられていますが、多分過去一で痩せてんじゃないでしょうか。
バットマン系の俳優は体系変えるのが好きですな。クリスチャン・ベイルやら『チャプター27』で激太りしたジャレッド・レトやら。ベンアフもバットマン役のためにガチムチになったそうですね。デカすぎだよ。
マーレイ・フランクリン(ロバート・デ・ニーロ)
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アーサーが憧れるバラエティ番組の司会者。アーサーはいずれはマーレイのショーに出たいと妄想してたのが思わぬ形で実現してしまいますね。
そんなマーレイ役は元祖体系チェンジ俳優のロバート・デ・ニーロが演じます。役に合わせて体系変えたり髪抜いたりする演技方法をデニーロアプローチっていうほどですもんね。
最近はさすがに老体に鞭打つわけにもいかず、どの映画見ても小太りのおじいちゃんって感じだけど。
正直最近のデニーロって役柄のせいかパッとしない映画ばっかって感じで徐々に私の中の株を落としていってたんですが『ジョーカー』で再浮上。やっぱりデニーロは偉大です。
ソフィー・デュモンド(ザジー・ビーツ)
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アーサーが思いを寄せるシングルマザー。思いを寄せるって言い方すると聞こえはいいけど、一方的にストーキングしてるってのが事実。
ソフィー役にはザジー・ビーツ。名前が可愛いです。
『デッドプール2』のドミノ役やドラマ『アトランタ』のヴァン役の女優さんなんですが、正直イマイチ顔が覚えらんない。可愛いんだけども特徴がないというか。
トーマス・ウェイン(ブレット・カレン)
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未来のダークナイト、ブルース・ウェインの父親であるトーマス・ウェイン。一応ブルースもマーサもアルフレッドも出てきましたね。
トーマス・ウェインは市長になろうと出馬予定なのですが、ゴッサムでは貧困層と富裕層の格差がどんどんと開いてきており、トーマス・ウェインは富裕層の象徴として市民から槍玉にあげられます。
この構図は『ダークナイト ライジング』でも描かれたゴッサムの抱える大きな問題のひとつですね。
アーサーの母親ペニーはどうやら30年前にウェイン家のメイドだったようです。
トーマス・ウェイン役にはブレット・カレン。元々はアレック・ボールドウィンがキャスティングされていた役のようですね。ブレット・カレンはクリス・ノーラン版バットマンの『ダークナイト ライジング』にも出演していましたね。キャットウーマンことセリーナ・カイルに拉致されるお偉いさん役でした。
映画『ジョーカー』の感想(※ネタバレあり)
ここからは映画『ジョーカー』のネタバレがあるので未視聴の方はご遠慮くださいな。
まあとにかく私はすごい好きでした。最近のお祭りドンパチ映画に飽きつつあるので、往年の作品をイメージさせるような作りの本作『ジョーカー』は私にはストライク。
「面白い」「楽しい」どっちでもないけど好きです。
すごく不愉快な鬱映画
まず何よりこれだよね。
本作の『ジョーカー』はとにかくすごい不愉快になるくらいの鬱映画でした。これまで映画に登場してきたジョーカーって基本的に根っからの悪いヤツだったりイカれたヤツなんですよ。
ジャック・ニコルソンのジョーカーは元々ジャック・ネーピアというマフィアでしたし、クリス・ノーラン版のジョーカーは出生など一切不明でとにかく悪意の塊のようなヤツでした。
でも本作の『ジョーカー』に出てくるアーサー・フレックって結構普通の人なんですよ。確かにコミュ障な変わり者なんだけど本当に普通の人。クラスに一人はいるちょっと変なヤツぐらいに普通な人。
誰だってちょっとぐらいは「自分がテレビに出たらこう言うかな」とか、「近所のきれいなお姉さんとデートする」妄想とかすると思うんですよ。
確かにアーサーはちょっと恥ずかしいヤツですが従来のジョーカーと比較すると私たち一般人に近いし、普通の人なんですよね。
そんな普通の人が一生懸命夢を叶えようとしているのを、悪意ある言葉で陥れられ狂気に追い込まれていくわけです。
なんだか「正直者はバカを見る」を突き詰めた映画みたいで、すごい不愉快と言うか憂鬱な映画でした。劇中のセリフで「昔は悲劇だったけど今は喜劇だ」みたいなこと言ってたけど、周りからみると最初から最後まで悲劇でしたよ。アーサー本人は喜劇は主観的だからそれで良いって言ってたけど。
胸クソ悪い奴らばかりの世界で、そりゃアーサーも気がふれて当然ですよ。序盤はとにかく見てても世間に対する怒りや不愉快な感情しか湧かなかったです。
これはジョーカーじゃない
そもそも監督のトッド・フィリップスが原作コミックを全く参考にしていないと公言しているので、これを言うのは適切じゃないのかもしれません。日本のポスターも「DCコミックスのキャラクターに基づく」と書いてあって、DCコミックス原作とデカデカ書いてないですし。
でもこれってジョーカーじゃないよね感は最後まで拭えませんでした。やっぱりビジュアルがどうやってもピエロにしか見えない。頬に傷があったり、口がひきつって笑ってないし、漂白肌が白塗りメイクな上に鼻を赤く塗ってんだもん。ペニーワイズ?それともジョンウェインゲイシー?とにかく最後までピエロ感が強かったです。
といってもそもそも最も評価が高い『ダークナイト』版のジョーカーだって、肌が漂白されてないし全然愉快じゃないし結構これまでのイメージ像無視だったんで、もう何でもいいや。DCEUのジョーカーがありなんだもん。
でも笑いが止まらない病気ってジョーカーっぽいし、カリスマ性があって多くの人がジョーカーに賛同して彼を崇拝するところはやっぱり紛れもなくジョーカーなのかもと思ったりしたり…。
ジョーカー云々よりもアーサーという男がぶっ壊れていく話と思う方がいいのかもしれません。というかその設定だけでも十分すぎるぐらい面白いです。
なんだかんだバットマンの誕生あったね
散々『ジョーカー』のジョーカーはジョーカーじゃないとか言ったけど、一応バットマンのオリジンストーリーに繋がる部分がありましたよね。
もう何回も色んな映画やドラマで見てきてるので、建物からウェイン一家が出てきた時点で「あぁブルースの両親殺されるわ」って皆思ったよね。
私たちの知っているゴッサムシティと言えば救いようがないぐらい治安が悪くて、街で犯罪が当たり前のように起こっているようなところです。でも『ジョーカー』で舞台になったゴッサムシティは治安は悪いけど比較的マシで、路地裏に行けば強盗がいるような街ではないです。
でもアーサーが生放送番組でマーレイを撃ったことで火付け役となり街の治安がめっちゃ悪くなるんですよね。つまり私たちが思い描くゴッサムシティを作り上げたのはそもそもジョーカーだったということになります。
ジョーカーのオリジン、そしてバットマンのオリジン、ゴッサム荒廃の理由なども描かれていて実は結構バットマンの内容が盛り込まれてるんだなと思って、その辺りはワクワクしました。
あと面白いのはジョーカーとバットマンが異母兄弟だということ。そんなんアリか!待てよ、ジェームズ・ボンドとブロフェルドが兄弟だったのに似てね?と一瞬思いました。
ウェイン側は否定し続けていたし、アーサー同様に母親も妄想癖があるので結局のところ、どれが事実でどれが妄想なのかは不明なんですが面白い設定でした。
でもこの設定リークされてて、私は知ってたんだよ…。やっぱりネタバレはクソだわ。
金獅子賞受賞!ジョーカーが再びアメコミ界の伝説に
この映画が興行収入的に成功しようが失敗しようが金獅子賞受賞は十分な快挙です。
金獅子賞というのはヴェネチア国際映画祭の作品賞でアート作品、芸術性の高い作品を高く評価する賞です。アカデミー賞のようにアメリカのエンタメや社会情勢などの忖度を強く反映した賞とは少し違います。
スーパーヒーローを描いたアメコミ原作の映画が金獅子賞受賞するのは多分最初で最後。今後も金獅子賞を受賞するような作品は出てこないんじゃないでしょうか。
思い返してみるとここまで作品自体が高く評価されたアメコミ映画って『ダークナイト』以来だと思うんですよ。アカデミー賞助演男優賞を受賞した故ヒース・レジャーのジョーカー以来です。
そうやって思うとジョーカーがまたアメコミ界の金字塔になったのかと思いますね。
今の業界に真っ向から向かう映画
最近アメコミ映画やスーパーヒーロー映画ってめっちゃ流行ってるのは言うまでもないんですが、『ジョーカー』ってこれに完全に逆行してるなと。
指パッチンで生命半分消滅したり、アイアンマン死んじゃったり、マーベルもそれなりに重いテーマを扱ってるんだけどやっぱりエンタメなんですよね。絶対に子供が見れる映画。
10年前クリス・ノーラン版バットマン三部作や『ウォッチメン』が流行っていたころは、それこそダークでシリアスな作風も受け入れられていましたが、最近はとにかく愉快で楽しい映画が多いです。新作公開されるたびお祭り状態になるし。
そんなタイミングでこの超メランコリーなアメコミ映画って時代に逆行しまくってませんか。
レイティングあるから子供は見れないし、仮に見ても理解できなくてスゲー退屈するような映画です。
なんだかんだ言いつつ、ワーナーはダークな作品や往年の名作っぽい映画作りが一番いいんじゃないでしょうか。
仮に映画がクソ駄作だと思っても演技・映像に十分価値がある
今言った通り『ジョーカー』って時代の流れに沿ってない映画だと思うんですよね。見てて楽しい映画ではないし、どちらかと言うと疲れる映画です。
なので中には「ジョーカークソ駄作だわ」と思う人がいるかもしれません。
でも仮にこの映画からストーリーや内容を全部すっこ抜いたとしても、ホアキン・フェニックスの狂気的な演技と薄汚い70年代~80年代前半を思わせる映像だけで十分価値がある。
なんていうかどのカットを切り取っても超カッコよくないですか。どのシーンもポスターにできそうなぐらい。多分映画のアスペクト比も違ったよね?詳しく知んないんだけど。
あとは70年代頃の映画のオマージュがいっぱいありましたね。『タクシードライバー』『キング・オブ・コメディ』は言うまでもなくストーリーにも大きく影響していますし、映像的には『カッコーの巣の上で』っぽいシーンなんかもありましたよね。
ラストのオチについての解説・考察
解説というか自分の意見ですが。
ラストシーンでアーサーが精神病院(アーカムアサイラム?)らしきところで診察受けてるんですよね。
あれが一体いつの話なのかテロップが出なかったんです。つまりあのシーンって過去のシーンなんじゃないかと。
アーサーが毎週福祉施設で面談して薬を貰っていたのって、それ以前に病院でお世話になっていたからですよね。その病院がラストのシーンかと。
結局、約2時間の上映時間にあった出来事は全てアーサーの妄想、「アーサーのジョークのネタ」だという「オチ」ですね。
アーサーは初めから病院を出ておらず、大道芸人になったり、マーレイに恥をかかされたこともなく、全てがジョークのネタ。
ジョーカーの信者たちに救い出された後、施設にぶち込まれたってのがラストの正しい考察なのかもしれないけど。それすらも分からないというのが監督の思惑なんじゃないかと勝手に思ってる。
この辺りは「どうなったのかわからない」で片づけるのが一番面白いし良いと思います。
最後に
いかがだったでしょうか。良いか悪いか好きか嫌いかは別として「衝撃作」なのは間違いないですね。
私はすごい好きでしたよ。ヒース・レジャーより全然好きです。そもそもヒース・レジャーのジョーカーそれほど好きじゃなくて、ジャック・ニコルソン派だったので。ヒース・レジャー版すごい怖いのは間違いないけど。
なんやかんや言いつつ歴代ジョーカーってバットマンと比べるとバリエーション豊富で良いですよね。似通ってないから比較するのが難しいし、好き嫌いが完全に住み分けできてる感じ。
これも一つのジョーカーだと思うと、さらに楽しんでみることが出来るかもしれませんね。
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